2011年11月21日月曜日

読了・天地明察

天地明察
天地明察
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冲方 丁
角川書店(角川グループパブリッシング)
売り上げランキング: 4445
この本はみなさん読むべきだ。
心地よい物語の全てがここにある、といってもいい。
最初の章を読み終わったあたりで、すでに読み終わるのが惜しくなっていた。こういうことはそうそう体験できない。

「読み終わりたくない」と痛切に思ったのは山田正紀の

宝石泥棒 (ハヤカワ文庫JA)
山田 正紀
早川書房
売り上げランキング: 420768
以来ではないか、と思うほどで、宝石泥棒はおよそ30年前の作品だから、私としては30年に1冊の傑作、ということになるか「天地明察」は。

早く結末にたどり着きたい、と考える小説すら少ない。成り行き上、最後まで付き合うか、ということのほうが圧倒的に多い。読み終わりたくない、と感じさせる作品はもうそれだけで大傑作だ。

2011年11月14日月曜日

読了・「錨を上げよ」

まさか最後の100ページにあんな展開が待っているとは。

錨を上げよ(下) (100周年書き下ろし)
百田 尚樹
講談社
売り上げランキング: 8166
下巻に入ってずいぶん主人公が動きまわる。テレビ業界に入ったあたりで挿入される思索的な会話がこの作品のモチーフか、と思わせて、結局「愛の物語」だったのね。

これだけいろいろあって、「人生の長い航海がこれから始める」がオチとは。

喫煙していないはずの主人公が深刻な場面でいきなりタバコを吸っていたり、右手の怪我が次のページで左手になっていたり、小さなミスが気にかかった。こういうのって編集者の仕事なんじゃないの?

2011年11月13日日曜日

読書中・錨を上げよ(下)

文学史上に残る大傑作かどうかはともかく、下巻に入って疾風怒濤の展開である。

錨を上げよ(下) (100周年書き下ろし)
百田 尚樹
講談社
売り上げランキング: 9841
著者来歴を読む限りでは明らかに主人公に著者の人生が投影されている。
実際、うに密漁の微に入り細に入る描写は(ってあんまり描写はないか)かなり実体験を反映していると思われ。
あと100ページちょっとというところまで読んでしまった。さて、どんな結末が用意されているか。

錨を上げて漕ぎ出す海は、やっぱり文学の大洋なのかな。

2011年11月9日水曜日

Kobo Voxについて調べる

楽天、電子書籍事業のKoboを約236億円で買収へ - ニュース:ITpro
このニュースをみて、思わず「おおっ」と声を上げてしまった。2,3日前にKobo Voxについてちょちょいと調べて興味をもっていただけに、楽天が買収してしまうという展開にのけぞった。

Voxそのものの購入ページはこのリンク。どうやら もう購入できるようだ。おそらく日本には直接届けてくれないと思うけれど。
Kobo Vox eReader

本体のファーストインプレッションはこんな感じらしい。


Kindleと同じく、KoboもiOSやPC、OSX用のReaderAppを配布している。

Smartphones

これがいまいちの使い勝手でとりあえずOSX版は動作がもっさりしている。
 BookShopの表示もかなりしょぼいな。スマートフォン向けのHTMLをそのまま表示しているようだ。

さらに残念なのは、現在のところ少なくても日本からアクセスすると使えない機能があること。それもFreeBook。本棚が空だと寂しいので無料本を表示されてみようとしたら、見事にはねられた。
そんなわけでこりゃハードウェアの購入を検討しても仕方がない、ということでGoogle+に萌える〜とか書き込んでVox調査は終了したのだが。

楽天が買収したということは、Voxも楽天専用端末として発売されるに違いない。こりゃおもしろくなってきた。

出版社がAmazon.comに一方的にやりこめられそうな状況に、eコマース企業が一矢を報いるわけだな。

2011年11月8日火曜日

読書中

錨を上げよ(上) (100周年書き下ろし)
百田 尚樹
講談社
売り上げランキング: 56020
おくらばせならがらこれを読んでいる。帯に「誰も二度と出会えない大傑作」とあって、こう書くには編集者にもけっこう度胸だと思うのだけれど、上巻400ページくらいまで読んで本当に世紀の大傑作なのかどうか首を捻り中。

それなりにおもしろいんですけどね。どうにもならない男の半生の記、ということで、主人公と年齢が近いだけに感情移入もしやすい。これからいよいよ大学受験、というあたりを読んでいるが・・・。編集者がちゃんと仕事をしていないのではないか、と気になる文章がちょこちょことあるのが気になる。

読了

伏 贋作・里見八犬伝
伏 贋作・里見八犬伝
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桜庭 一樹
文藝春秋
売り上げランキング: 155170
この作品を読んで、やっと自分にはあまり桜庭一樹がおもしろく感じられない、ということがわかった。客観的に、ではなくあくまでも自分としては、だけれど。

もう新作を追わなくてもいいなあ。

その点、やはり宮部はいい。


あんじゅう―三島屋変調百物語事続
宮部 みゆき
中央公論新社
売り上げランキング: 51629
大変おもしろかった。

宮部がまた電子書籍化されていない作家で、この「あんじゅう」に収録されている「暗獣」が1,000円で(!)発売されているのが主なところ。

藤沢周平、司馬遼太郎、開高健の全集がeBookになるのが、今のところの夢だなあ。